SEIKOMATIC cal.603
【つれづれ】
セイコーマチック・キャリバー№603。
1960年(昭和35年)諏訪精工舎製。国産機械式腕時計の黄金期にセイコーが発売した男性用自動巻き腕時計。
ゼンマイ巻きが不要のため、一見すると竜頭が見えない(時合わせ用の小型の竜頭が4時位置に埋め込まれた)デザインになっている。マチックには画像の20石の他、普及品の17石、高級品の30石があり、20石と17石はロジウムメッキ、30石は金メッキが施されている。
セイコーマチックについて詳しく知りたい方はこちらへ。恐らく世界一詳しく、マニアックなサイト。ttp://www.h4.dion.ne.jp/~smatic/62series/6036201/6036201.html
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このセイコーマチックは、私の父親のものでした。まだ小さい頃に、父が腕にはめていた記憶が薄っすらあるのですが、物心ついた頃には既に風防が外れた状態で「仏壇の横の古い物が入っている引出し」に放り込まれていました。当時そのまま遊んだので秒針が外れ、文字盤は傷だらけになりました。
20歳の頃に勝手に持ち出して時計屋で風防のみを取付けて数回使い、その後35年間、今度は私の引出しの肥しになっていましたが、先日時計店にオーバーホールを依頼し、バンドもマロン色の型押しに交換しました。
私は勝手に、この時計は父が独身の頃に買ったのだと思い込んでいましたが、発売は私が生まれた翌年です。そして発売当時の価格は8500円。60年代初期の大卒初任給が2万円弱なので、「所帯を持って数年、2人目が生まれたばかりの昭和の家具職人が気軽に買えるものではないよなぁ」などといろいろと想像します(もう知る由もないので)が、私の思い入れとは別に、風防が取れただけで修理に出さず、その後はクォーツ時計を使っていたのを見ると、本人はそれ程大事にしていなかったのかも知れません。
ところで、O.H.する程ならこの時計は結構なプレミアなのかと勘違いされますが、実はこれよりもずーっと状態の良い物が1~2万円程度でオークションに出ており、私以外の人間にとって価値はほとんどありません。そんな物にソーラー電波時計が買える程の金額を掛けて修理をするというのは、ある意味贅沢と言えます。でも新しい時計を買う贅沢よりは自分らしいかな、と思いますよ。
因みに、父が最後に買った時計はジャパネットタカタのソーラー腕時計でした。聞いた事もないメーカーの金色のヤツ。それほど時計に興味なかったんですね…(いい話が台無し)。
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